ESSAYS 
 


■住所の表示方法

僕が訪れたことのある国で用いられていた正式な住所表示の方法には次の2通りがあった。

地域型標示(地域名+数字)
道路型標示(道路名+数字)
地域型表示というのは日本で用いられているシステムで、例えば「東京都調布市八雲台2-26-13」というように徐々に対象となる範囲を狭めて限定していく方法である。一方、道路型表示は市町村名の他には道路名+数字で示されるシステムである。例えば「250 South Grand Avenue,Los Angels,CA」といった具合で世界的にはこちらが主流のようである。僕は日本以外に地域型表示を採用している国を知らない。

初めての土地で地図だけを頼りにどこかへ行こうとするとこの道路型表示は結構曲者だ。地域型表示ならば、例えば調布市八雲台2-26-13に行こうとすると、地図の調布市のページを開いて八雲台と書いてある地域を探す。その中の2丁目の26番地(あるいはそれに近い数字)を見つけるのはそれほど難しくはない。あとは最寄りの駅を地図上で見つけてそこまでの行き方を調べれば済む。しかし道路型表示の場合、道路名は巻末などについている道路名一覧を使えばすぐに見つかるが、目的地がその道路のどの辺りにあるのかということがわからない。「道路名+数字」の数字はその道路の起点を1としてふってあるのだろうが、2000とか3000にもなると地図上ではそれがその道路のどの辺りになるのかは検討もつかない。当然最寄り駅もわからず、どうやってそこに行けば良いのかもわからないということになる。

一方、自動車で移動している場合この道路型表示は便利である。どこでもいいからとにかく目的の道路までいったん出てしまえばあとは数字を追うだけで必ず目的の場所にたどり着ける。ちょっと有名な通りならば地図を見なくても問題無くたどり着けてしまうのだ。地域型表示ではこうはいかない。
また、同様に、住所だけを頼りに目的地近辺についた後も道路型表示の方が優れている。「250 South Grand Avenue」は確実に「240 South Grand Avenue」と「260 South Grand Avenue」の間にあるが、「八雲台2-26-13」は「八雲台2-26-12」と「八雲台2-26-14」の間にあるとは限らないからだ。

このようにどちらも一長一短なのだが第三の表示方法がある。正式な住所表示にこの方法を使っている国があるかどうかは知らないが、ニューヨークや京都などでは一般的に使われている。道路+道路(+α)というシステムである。例えば「5th Avenue at 61st street」(5番街と61番通りの角)や「今出川通大宮東入る」(今出川通りと大宮通りの角から東に行った所)という表示である。町名まで郵便番号を割りふるというデジタル化の時代にはあまりそぐわないかもしれないが、これにどちらかの道路の数字をつけたものが住所表示の方法としては最も優れているのではないだろうか。

海外から日本に来る旅行者達は日本の地域型表示をどう感じているのだろう。

1996/08/17