ESSAYS 
 


長距離夜行バス

久しぶりに長距離の夜行バスに乗りました。朝9時から名古屋で打ち合わせがあったので、始発電車で東京駅に行くよりはと思い、23:40発の夜行バスにしたのです。今までに名古屋−東京、新宿−名古屋というのは乗ったことがあったのですが、今回の東京−名古屋は初めてです。 新宿駅新南口のバスターミナルと違い東京駅の方はいくつかの飲食店が併設されています。出発まで20分程時間があったのでそのうちのひとつでコーヒーを飲んでいると、どこかアメリカンダイナー風の店のつくりのせいか、黄色っぽい照明のせいか、あるいはたまたまかかっていたミスチルの歌のせいか、その騒がしいけれどもちょっと寂しげな雰囲気がアメリカのバスターミナルを思い出させます。

以前2ヶ月ほどアメリカを旅行したことがあります。その時の移動手段はほとんどがグレイハウンド−アメリカ唯一の長距離バス網−でした。ご多分にもれず貧乏旅行でしたので、宿代を節約するために随分と夜行バスに乗りました。国が広いので一晩ぐらい乗っているとちょうど次の目的地に着くといった具合です。一番長く乗ったのはミネアポリスからシアトルまでの2泊3日でした。そういった時の深夜や早朝のバスターミナル兼ドライブインの雰囲気に似ています。

夜行バスというのはひとりで乗るものというイメージが僕にはあります。多人数ならば自動車の方が安上がりですし、楽しいです。実際、今回の名古屋行きもクラシックコンサートの帰りらしい30代半ばの女性や恋人らしき男性が見送りに来ている女の子など単身の乗客が多かったようです。

「旅行」と「旅」は違うとよく言いますが、そういう意味では長距離バスは「旅」の乗り物だという気がします。そんなことを考えていたら、また無性に旅に出たくなってきました。

1998/11/29