VILLA YAM






この山荘は山中湖を臨む北斜面に建っている。 ほぼ55m×20mの長方形の敷地は約20%の概ね 均等な勾配で下っている。

富士箱根伊豆国立公園の特別地域内にあるため 敷地境界線から5m以上のセットバックが義務 づけられ、建築可能な範囲は約45m×10mとい う細長いものであった。また、北斜面の宿命と して陽ざしの入る方向(山側・南側)と視界が 開け眺めの良い方向(山中湖側・北西側)が異 なっている。

そこで私たちはその敷地特性に逆らうことなく、 採光のための窓と観るための窓を分けて考え、 長さ12.5間(22.75m)幅2間(3.64m)の細長 い、各室が直線に連なる平屋プランを提案した。 山中湖だけでなく富士山を遠望することも出来 る南西側に居間・食堂、反対の北東側に畳室 (2室に分割可)、その間に玄関・水回りという 構成である。

このことはどの部屋においても南からの十分な 採光を確保しつつ山中湖を臨むことを可能にする だけでなく、動線が単純になるためバリアフリー という観点からも有効である。また、等高線に 平行に配置することにより基礎の高低差を減らし 掘削量を最小限にしている。

一方、居間・食堂といった動のスペースと畳室と いう静のスペースの間に十分な距離をとることも、 家族以外の多数の宿泊者が想定される山荘という 施設においては重要であると考えた。

結果として、大きな開口部によって切り取られた 外の自然を室内から見ていると、前面道路からや や上ったところに建っているせいもあって、あた かも林の中に浮かんでいるのかと思うような気持 ちの良い住宅となった。また、黒に近い茶色に塗 られた杉板の外壁は周囲の木々と調和し、以前か らそこに建っていたかのような自然なたたずまい を見せている。

 

所在地 :山梨県南都留郡山中湖村
主要用途:週末住宅

設計監理:TSKアソシエイツ/大塚誠
     沖崎建築設計事務所/沖崎剛
施工  :広瀬建築/廣瀬鉄也

構造  :在来木造・高基礎部分のみRC造
規模  :地上1階

敷地面積:1,190.10 m2
建築面積:85.30 m2
延床面積:83.64 m2

設計期間:2007年 3月〜2007年10月
工事期間:2007年11月〜2008年 5月

外部仕上
 屋根 :ガルバリウム鋼板竪はぜ葺き
 外壁 :杉板竪羽目貼
 開口部:アルミサッシ

内部仕上
 床  :木フローリング・畳
 壁  :藁スサ入り珪藻土
 天井 :シナ合板・珪藻土

写真撮影 椎橋武史(9枚目のみ大塚誠)